ほんとうはすべて知っていた。
心の底流(undercurrent)が導く結末を。
夫が失踪し、家業の銭湯も手につかず、途方に暮れる女。
やがて銭湯を再開した女を、目立たず語らずひっそりと支える男。
穏やかな日々の底で悲劇と喜劇が交差し、出会って離れる人間の、充実感と喪失感が深く流れる。
映画一本よりなお深い、至福の漫画体験を約束します。
「今、最も読まれるべき漫画はこれだ!
すでに四季賞受賞作で確信していたその物語性と演出力に驚く。
豊田徹也は心の底流に潜む、なにかの正体を求めるように静かに語る。
」――(谷口ジロー)
アンダーカレント

コメント
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
けれど私はこういう本が好きで、こういう本で悩んでしまう、人間関係に繊細な自分で良かったと思えたりもする。
内容についてはうまく言えないけど、私にとってそんな本。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
1 下層の水流、底流
2 《表面の思想や感情と矛盾する》暗流
小説のような豊田徹也の漫画。
大雨の夜に読了。
家業の銭湯を継ぎ、日々の暮らしを営む主人公かなえ。
8年の時間を共にしてきた夫の突然の失踪。
その後、町で起こるいくつかの事件。
ミステリー要素と共に展開される人間の描写。
探偵山崎の「人をわかるってどういうことですか」という問いかけが
作中全体を通じて、じわりじわりと投げかけられる。
長い時間を共にしてきたからといって、
その人の考え方を知ったからといって、
その人のことを”分かっている”わけじゃない。
”ちょっとした表情とか間とか…沈黙とかそういった”
言葉にならない本当の言葉の部分に触れることができるのか。
人に言えない過去を抱えながら生き続けていることへの葛藤や
今を共にする人に分かってもらいたい・分かち合いたいという願望。
そういった繊細な心情が人の水面下でゆらゆらとしている。
死を願うかなえの涙を拭う堀さん。
夫との最後の別れにビンタではなくマフラーをかけるかなえ。
undercurrentというタイトルが妙味を持って迫ってくる。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
他者に理解される部分というのは氷山の一角に過ぎなくて,それが噴出し初めて露わになるものであるということ。
わりとハードボイルド?で、日常とはかけはなれたようなな事件ばかりがおこるストーリーで,いやそこまでしなくてもー!
と展開につっこんだりしましたが。
結局他人を完全に理解するのは無理なのだけれど,それであっても人と人の中で生きていくっていうことを考えた本。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
あなたのご主人悟さんのパーソナリティーみたいなものがさ。
人当たりがいい、面倒見がいい、責任感がある。
そんなのはその人がその人たりえてるモノとはなんの関係もないですよ。
」
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
けど優しさ、支え合う、関わり合う。
人の力を信じたくなる。
時々読み返したくなる。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
ここちよい邦画のような独特の空気感。
どこを見ているのか、つかめない瞳をもった登場人物たち。
でもしっかり歩き始めるラスト。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
風鈴のすずやかな音色は涼をもたらし、
かまの中の薪はパチパチと火の粉をとばしながら、はぜている。
タイルを磨くブラシの音は心地よいリズムをうみ、
ページをめくるごとにそれらの音は耳に心地よく響く。
そう、だからこそ
音が失われてしまった瞬間、
訪れる静けさはひと際目を引く。
失われた音を、その原因を探ろうと、わたしは目を凝らす。
信じられない程の哀しみが、痛みが、裏切りが、
彼女から彼女の生活から音を奪ってしまったことに愕然とする。
あまりの完成度の高さに驚き
作品の余韻に身を委ねたまま、
わたしは静かに本を閉じる。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
映画的表現を使っているけど、登場人物がシャベルのはごくわずか。
音がないのに、心情がありありと伝わってくる。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
友人の紹介で夫の捜索を頼んだ私立探偵と、住み込みで銭湯に雇われたポーカーフェースの謎の男。
静かに緩やかに氷解していく隠されていた事実。
嘘つき女と嘘つき男。
この人は本当にただの漫画家なんだろうか? かつて漫画は映画であると本に書いた手塚治虫の教授を久しぶりに思い出した。
まるで良くできたドラマを1本観終えたような感動が静かに心を揺らす名篇だ。
気まぐれに手にした「珈琲時間」があまりにも面白かったのでずっと探していた豊田徹也の長編は、やっぱりただの漫画とは思えないほど完成された上質の物語だった。
道化探偵の山崎がここでも活躍している。
ただもう素晴らしいとしか言いようがない。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
著者の作品は初めて読んだけれど、回想や風景の差し込み方は映画的であり、細やかに演出されたリズムに乗って物語に没頭することができた。
大切なものの喪失=不在が、アンダーカレントの姿を明らかにする。
痛いほど分かる。
再会の場面で語られた悟の言葉は、かなえの苦悩や不安と比べると掴みどころがなく呆気ない。
現実もそのようなものかしれない…だからこそ、完璧に理解することは難しくても、相手を分かりたいというその気持ちが尊いのかもしれない。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
心の中の中は誰にもわからんよね。
相手のことを”知ってる”のと“わかる”っていうのは、必ずしもイコールではないな、と。
心臓ぎゅうぅってなりました。
映画みたいなマンガ。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
読むたびに、人の心の複雑さに思うことが増える。
そして何より豊田さんの絵が好き。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
人物の心理描写などが素晴らしく、しかし会話などが軽いので暗すぎず、気持ちよく読めます。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
首を絞められながら水に落ちていくシーンは、静謐で綺麗。
(不謹慎な表現かも・・・)
穏やかな絵柄が、物語にリアリティを持たせている。
この作者のほかの作品はないのかなぁ。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
言葉が深く、眩しそうな表情がいい。
男女キャラクターとも。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
わかりあっていたようで、何もわかってないことって、あるんだなって思うと、切ないです。
他者理解が不可能っていうところもあるけど、ラストのシーン彼女の優しさに泣きそうになる。
「さよなら」って本当に「さよなら」なんだって思って、そういう「さよなら」って現実にあるんだよなっていうのが、切なくてどうしようもなかった。
でも好きだな。
どろどろしてなくて、前向きな肯定で終わるから。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
改めて考え直す漫画でした。
登場人物には語らせず表情などから考えを読み取らせるような構成がよかったです。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
死のうとしたこともない。
そんな”能動的”な感情にすらいたらない。
満足感もない。
ただなんとなく生きている。
お腹がすくから食べる。
眠たくなるから寝る。
息をしないと苦しいから息をする。
ただそれだけ。
ただひたすら虚しい。
無意識に隠しにしてきたそんな虚無感を意識下から引きずり出されて思い知らされてしまう漫画だ。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
とにかく地味~な展開がこれでもか、と続く。
これを連載している雑誌が続けていけるんだから、案外日本国民も捨てたもんじゃないな。
地味だけどけっしてつまらなくなったり飽きたりはしないで、1冊読み終えました。
大人の渋い漫画。
蛇足だけど、この本の説明文はアオリすぎておかしいと思う。
そんなハイテンションでゴリゴリ推すようなイメージの作品じゃないと思うのだが。
あと、ブクログは本の画像に帯を入れないでください。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
旦那が失踪する話。
「人をわかるってどういうことですか?」っていうところが好き。
確かに他人のことなんて実は何にも分かんないのかも。
最初らへんで奥さんが湯船に落ちるところが好き。
水中からと水上からの絵が素敵。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
映画みたい、だからといって映画化を望んでいるわけじゃないし、漫画より映画の方がすごいって言いたいのではないけれど。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
って感じ。
夫婦も所詮他人何だからわからない事だらけだよねってお話。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
失踪した夫の登場で一気に冷めてしまった。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
細い線で描かれる、決して特別ではない市井の人々である登場人物たちの人生の機微に、心を掴まれる思いで一息に読んでしまった。
読後はしばらく余韻に浸ってしまい、物事が手につかないほどであった。
(これだから漫画を読むのは辞められない!
)
著者の豊田徹也氏は寡作の様だが、たとえペースが遅くとも、このように繊細で素晴らしい作品を今後も生み出していって頂きたいと、一漫画ファンとして心から願う。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
という話ですが、心理学・コミュニケーション論の
「ジョハリの窓」を思い起こしながら読んだ。
この題名は、あるアルバムからとったっぽいです。
お話の舞台が銭湯だったりするんですが、
いまどき木材を使ってお湯を沸かしてるところって
東京でどれくらいあるんでしょうね?
主人公が雇った探偵の乗ってる車が
フィアット・パンダだったりして
いつの時代かよくわからなかったりする。
(生産年数が長いし、中古でも出回ってるし)
そういうところも狙ったんでしょうか。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
こういう作品に触れると、コミックもいいなあとしみじみ思います。
「また漫画!
」って怒るお母さんにもおススメです。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
家業の銭湯。
住み込みで働くようになった男。
そして・・・幼い頃の事件。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
絵が上手い。
一つ一つのカットが冴えている。
よしながふみの切り替え方に似ているかも。
他人の心は絶対に踏み込めない領域で
それでも知りたくて
でも自分を知ってほしいわけではなくて…
映画を見ているような感覚に陥った。
切ない読後感もよい。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
1巻読み切りでバランスよくまとまっている。
舞台が風呂屋っていうのが地味でよい。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
初期の吉田秋生の絵によく似ていると思った。
微妙な表情の描き方がものすごく上手く、美しいのだけれど、それでも、なんとなく全体としてシンと冷えた印象を与えるのは、主人公の目に生気がないからだろうと思う。
元気に笑っていても、心を映したその目には気が宿っていない。
この「アンダーカレント」というタイトルは絶妙なネーミングだ。
表面上は何事もなく平穏と暮らしているように思える人々の中にも、その一つ下の層で何が流れているのかは、誰にもわからない。
それは目に見えないものであるだけに、当人がひたすらに隠し通せたとすれば、そこにどれほど大きな暗渠が巣食っていたとしても、他の誰にも気付かれないままやり過ごすことは出来る。
主人公の内部に空洞があるにもかかわらず、この物語が救われるのは、その周りにいるサブキャラクターの明るさのせいだ。
その影響を受けて、主人公の表情も段々と変化を見せていく。
とても良い後味を残す作品だった。
彼がどういう人間だったか正直いってよくわからなくなってきてるんです。
彼はいろんなこと私に話してくれましたよ。
でも本当に大事なことは話してくれなかったのかもしれない・・。
今思い出すと、時々、彼は私に何か重要なことを伝えたがってたように思うんです。
ちょっとした表情とか間とか・・沈黙とかそういったものを私も感じてたと思います。
(p.202)
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
映画化されそうでされない不思議。
私は最後まであの旦那が好きになれなかった...。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
「内容が小説っぽいこと」
「細い線で綿密な描写」
この二点が挙げられると思う。
まぁ細かいことは置いといても、温かさを感じてノスタルジアを覚えさせられるところが僕がこの人の作品を好きな1番の理由かな?
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
対話や過ごした時間ではどうにもならないとこもある。
だから世界はこうなっている。
そんな風に考えてしまうのは、悲観的だろうか。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
すなわち行間がある。
コマとコマの間に、描かれていない人物の表情があり、それが読み手に降りてくる。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
Yに借りた。
銭湯を営む主人公の女性と、その周りの人々の物語。
ときどきはさまれる怖い記憶も、最後には明かされる。
バッドエンドでなくてよかった。
さらっと読めてじんわり良い作品だった。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
題名の示す通り、人の心の底流を覗くような作品。
人間関係について考えさせられた。
作品全体を包む雰囲気はよく、出てくるキャラクターも愛おしい。
この作品に出会えて、本当によかった。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
暫く営業を休んでいたが、改めて再開することにした。
組合から技師である堀を紹介され、彼の寡黙ながら真面目な仕事ぶりに助けられつつ、順調に銭湯は運営される。
しかしかなえには夫の失踪のほかに、ずっと心の奥に閉まっていた辛い過去があった。
本作で出てくる登場人物はみんな極端に口数が少ないけれど、内に各々想いを抱えながら生きている。
多くは語らずとも、登場人物のちょっとした心の動揺や変化が伝わってくる絶妙な描写。
結局のところ何も変わらないかもしれない。
でも、それぞれが前に踏み出せればいいなと思う。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
ただ長く一緒にいるから、たくさん話をしたから、家族だから、、それでも「わかる」ということにはならないんだな…
哲学的であり、様々な感情を抱かせる作品
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
けど、近くの本屋でなかなか見つからなくて……。
この前寄ったときに見つけたのは嬉しかった。
なんか淡々とした感じの話だと思った。
初め、失踪した旦那が新しく派遣されてきた人だと思ってたけど、全然そんなことなかった。
途中でラブコメ入るのかなと思って、少しわくわくしたけど全然違ったよ。
脇役さんたちもいい味出してた。
モブにならない。
最後の結末は、彼は再び主人公の元へ戻ろうとしている、という意味で取ったけどはたしてどうなのかしら。
気になる。
いいお話でした。
機会があれば、同じ作者さんの別の話も読んでみたいなあと思う。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
人の底流。
ほんとうのあなたの心の奥底に流れているものは、誰かに伝えていますか。
これは傑作。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
だけどぐんぐん惹きこまれる。
登場人物が皆良い味出していて、人と人とのつながりを今一度確かめたくなる漫画。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
豊田徹也氏の作品は・・・今年(2019)の5月23日に読んだ…「珈琲時間(2009)」以来に読むなー。
暗い話ではなく、ほっこりと笑える部分があって。
面白く読めた。
おふろ屋がテーマな漫画も良いなーって。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
読み終えたあとは映画を三本ぐらい観た満足感に満たされる不思議~な漫画。
切なくなるわ~。
あ、あと絵が上手なんだコレ
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
底流。
ヴィレッジヴァンガードのPOPで「絶対読むべき」とあったので読んでみた。
旦那さんが突然失踪した銭湯の奥さんの話。
そこはかとなく漂う喪失感。
やり場のない悲しみ。
そういう空気感の描画が秀逸。
「映画一本よりなお深い、至福の漫画体験を約束します。
」
とは上手い褒め方だな~。
確かに、映画のシーンが頭に浮かぶよう。
なんか、村上春樹の「ノルウェイの森」を思い出してしまった。
いや、ぜんぜんストーリーは違うんですけどね。
喪失感がちょっと似てるかな、と。
1冊完結で、1時間ちょいで読めてしまいます。
しっとりした静かな雨の日にでも、この儚さを感じてみてください。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
ただ優しいだけの物語ではなく、その人のささやかな優しさを表現するためにコマ割りや演出にかなり気を使っていて作り手の作品に対する本気度が伝わってきます。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
雑誌を見てもすぐに読み飛ばしてしまう。
年のせいだと思っていたが、この本は珍しく1コマも読み飛ばさずに最後まで一気に読んだ。
一見地味に見える絵やストーリーなのに、実はかなり考え込まれて作られているのだろうか。
でもサラっと読める。
そして読みたい時に、すぐに読みたい所へ戻って読める漫画の特性を生かした話になっている。
最後まで読み終わって、また最初から読んだ。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
前回読んだ『珈琲時間』より
分かりやすい。
ストーリーが時系列に
流れてる、という意味で。
『人をわかるって
どういうことですか』
びぃぃぃんとくるヒトコト。
ややもすると この底知れない
哀しいような 不安な空気に
もってかれそうになるところを
サブじい、と 探偵山崎氏が
うまいこと 地面につなぎ止めてくれている。
ブレない傍観者ってんですかね。
ラストは『あぁ やっぱりこうなりますか・・・』
でも、なんか納得。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
正直なところそんなに大した話ではないけど、構図とか話の流れとか、すごい良いと思った。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
-☆1で。
でもよかったです。
二倍の値段でいいから、カラーページをカラー印刷してほしい。
そしたら最高なのに。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
心の領域なんて踏み込めない場所ばかりなのに、解ってほしくて解りたくて、人間ってなんなんだろ。
後半の展開が速すぎた気もしますが、あの速さだから良いのかしら。
難しいことや伏線などを考えて読むより、ストーリーをのみこみながら読むべきだったのかな。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
上手くまとまってます。
夫が蒸発してしまった主人公が銭湯経営を再開することから始まる話。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
一コマ一コマの描写がキレイで、人の動きが滑らか。
続きが気になって、一気に読んだ。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
決してみんながみんな前に進んでいけるわけじゃないのに、読んでいるうちにふつふつと湧き上がるものがあって、それをなんだろうかと考えると、どうしようもなくて遣る瀬無い想いだった。
だからこそ、サブ爺の最後の言葉が響く。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
後半のドタバタとした展開に少しだけがっかり。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
何も分かっていなかった自分。
そして過去の傷との対面。
ほのぼのした情景の中にチクチクと骨が刺さっている感じ。
ミステリー要素も漂いつつ静かにでも確実に時が流れていく。
ラストは賛否分かれるところだけど、あえて私は白黒つけず読者にゆだねる結末でもありだったのではないかな?と思う。
そういう雰囲気でも許される作品であったと思う。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
二人の人間の会話模様を描かせたら天下一品である。
二人のあいだの緊張、沈黙、終焉…その間合いの深みの素晴らしいこと。
物語作家の漫画家。
映画に仕立てるのは難しいだろうが、できればいいなと思う。
谷口ジローが帯推薦文を寄せているように、谷口ファンも愛する味わいだろう。
谷口より人間関係を描くのは巧いのでは。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
間違いなく1位です。
まさしく人間ドラマです。
『人をわかるってどういうことですか?』
グッと心にきました。
ラスト2ページは言葉はないけど、
絵だけで人のなんともいえない感情を表現してます。
ここまで表現できる漫画はあんまりないと思います。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
途中まではかなり面白くかぶりつきで読んでいたのだが、突然出てきた主人公の過去話がかなり特殊な話であり、しかも夫の失踪という物語の根幹との関連性が薄いのでややちぐはぐに思えてしまいそこから少し冷静になって読んだ。
二つの話は確かに細い線でつながってはいるのだが、一つの物語としてもう少し絡みあっているか、もしくは主人公の過去について深く掘り下げられていればまた見え方が違ったのではないかと思う。
とはいえそういった物語の構造云々を凌駕するくらいに魅力に溢れた世界観を持つ漫画であった。
とくにキャラクターが抱え込んでいる感情を言葉にしないことで、むしろその人の内面を詳細に描き出そうとするような作者のスタンスには強く惹きつけられる。
世界の片隅で起こっているような彼らのひっそりとした静かな生活のその下で、様々な衝動がドラマチックに蠢いているのがひしひし感じ取れた。
すっかり作者の豊田徹也さんのファンになったので、別の単行本『珈琲時間』も読んでみるつもり。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
画はあまり好みではなかったんですけど、読んでるうちに慣れました。
言葉にならないものが残りました。
読後に。
アフタヌーンは漫画界の良心なんではなかろうか、と最近思います。
買って読んで、いいなぁと思って、最後のページを見て、「あ、アフタヌーンだったんだぁ」てこと、意外とあります。
(06/6/7)
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
珈琲時間の作者つながりで読んだ。
まぁ、期待してたほどでは無い。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
賑やかなシーンの間に挟まる、とても静かで独特の間が心地良いです。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
人間ドラマ。
本当にそのまま人間ドラマ。
自分と他者を理解することとは?常にその問題を投げかけてくる。
淡々と進むしキャラクターの感情も希薄だけど、繊細な描写や構図でぐいぐい引きこまれて、些細な描写の中からも色んな意味を汲み取ろうと自然に見入ってしまう魅力があった。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
後半への展開の鮮やかさが素晴らしい。
銭湯に行きたくなる。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
読んだあとはしばらくずんと心になにか残ります
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
題名の示す通り、人の心の底流を覗くような作品。
人間関係について考えさせられた。
作品全体を包む雰囲気はよく、出てくるキャラクターも愛おしい。
この作品に出会えて、本当によかった。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
1 下層の水流、底流
2 《表面の思想や感情と矛盾する》暗流
小説のような豊田徹也の漫画。
大雨の夜に読了。
家業の銭湯を継ぎ、日々の暮らしを営む主人公かなえ。
8年の時間を共にしてきた夫の突然の失踪。
その後、町で起こるいくつかの事件。
ミステリー要素と共に展開される人間の描写。
探偵山崎の「人をわかるってどういうことですか」という問いかけが
作中全体を通じて、じわりじわりと投げかけられる。
長い時間を共にしてきたからといって、
その人の考え方を知ったからといって、
その人のことを”分かっている”わけじゃない。
”ちょっとした表情とか間とか…沈黙とかそういった”
言葉にならない本当の言葉の部分に触れることができるのか。
人に言えない過去を抱えながら生き続けていることへの葛藤や
今を共にする人に分かってもらいたい・分かち合いたいという願望。
そういった繊細な心情が人の水面下でゆらゆらとしている。
死を願うかなえの涙を拭う堀さん。
夫との最後の別れにビンタではなくマフラーをかけるかなえ。
undercurrentというタイトルが妙味を持って迫ってくる。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
底流。
ヴィレッジヴァンガードのPOPで「絶対読むべき」とあったので読んでみた。
旦那さんが突然失踪した銭湯の奥さんの話。
そこはかとなく漂う喪失感。
やり場のない悲しみ。
そういう空気感の描画が秀逸。
「映画一本よりなお深い、至福の漫画体験を約束します。
」
とは上手い褒め方だな~。
確かに、映画のシーンが頭に浮かぶよう。
なんか、村上春樹の「ノルウェイの森」を思い出してしまった。
いや、ぜんぜんストーリーは違うんですけどね。
喪失感がちょっと似てるかな、と。
1冊完結で、1時間ちょいで読めてしまいます。
しっとりした静かな雨の日にでも、この儚さを感じてみてください。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
細い線で描かれる、決して特別ではない市井の人々である登場人物たちの人生の機微に、心を掴まれる思いで一息に読んでしまった。
読後はしばらく余韻に浸ってしまい、物事が手につかないほどであった。
(これだから漫画を読むのは辞められない!
)
著者の豊田徹也氏は寡作の様だが、たとえペースが遅くとも、このように繊細で素晴らしい作品を今後も生み出していって頂きたいと、一漫画ファンとして心から願う。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
だけどぐんぐん惹きこまれる。
登場人物が皆良い味出していて、人と人とのつながりを今一度確かめたくなる漫画。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
映画的表現を使っているけど、登場人物がシャベルのはごくわずか。
音がないのに、心情がありありと伝わってくる。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
友人の紹介で夫の捜索を頼んだ私立探偵と、住み込みで銭湯に雇われたポーカーフェースの謎の男。
静かに緩やかに氷解していく隠されていた事実。
嘘つき女と嘘つき男。
この人は本当にただの漫画家なんだろうか? かつて漫画は映画であると本に書いた手塚治虫の教授を久しぶりに思い出した。
まるで良くできたドラマを1本観終えたような感動が静かに心を揺らす名篇だ。
気まぐれに手にした「珈琲時間」があまりにも面白かったのでずっと探していた豊田徹也の長編は、やっぱりただの漫画とは思えないほど完成された上質の物語だった。
道化探偵の山崎がここでも活躍している。
ただもう素晴らしいとしか言いようがない。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
初期の吉田秋生の絵によく似ていると思った。
微妙な表情の描き方がものすごく上手く、美しいのだけれど、それでも、なんとなく全体としてシンと冷えた印象を与えるのは、主人公の目に生気がないからだろうと思う。
元気に笑っていても、心を映したその目には気が宿っていない。
この「アンダーカレント」というタイトルは絶妙なネーミングだ。
表面上は何事もなく平穏と暮らしているように思える人々の中にも、その一つ下の層で何が流れているのかは、誰にもわからない。
それは目に見えないものであるだけに、当人がひたすらに隠し通せたとすれば、そこにどれほど大きな暗渠が巣食っていたとしても、他の誰にも気付かれないままやり過ごすことは出来る。
主人公の内部に空洞があるにもかかわらず、この物語が救われるのは、その周りにいるサブキャラクターの明るさのせいだ。
その影響を受けて、主人公の表情も段々と変化を見せていく。
とても良い後味を残す作品だった。
彼がどういう人間だったか正直いってよくわからなくなってきてるんです。
彼はいろんなこと私に話してくれましたよ。
でも本当に大事なことは話してくれなかったのかもしれない・・。
今思い出すと、時々、彼は私に何か重要なことを伝えたがってたように思うんです。
ちょっとした表情とか間とか・・沈黙とかそういったものを私も感じてたと思います。
(p.202)
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
1巻読み切りでバランスよくまとまっている。
舞台が風呂屋っていうのが地味でよい。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
けれど私はこういう本が好きで、こういう本で悩んでしまう、人間関係に繊細な自分で良かったと思えたりもする。
内容についてはうまく言えないけど、私にとってそんな本。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
途中まではかなり面白くかぶりつきで読んでいたのだが、突然出てきた主人公の過去話がかなり特殊な話であり、しかも夫の失踪という物語の根幹との関連性が薄いのでややちぐはぐに思えてしまいそこから少し冷静になって読んだ。
二つの話は確かに細い線でつながってはいるのだが、一つの物語としてもう少し絡みあっているか、もしくは主人公の過去について深く掘り下げられていればまた見え方が違ったのではないかと思う。
とはいえそういった物語の構造云々を凌駕するくらいに魅力に溢れた世界観を持つ漫画であった。
とくにキャラクターが抱え込んでいる感情を言葉にしないことで、むしろその人の内面を詳細に描き出そうとするような作者のスタンスには強く惹きつけられる。
世界の片隅で起こっているような彼らのひっそりとした静かな生活のその下で、様々な衝動がドラマチックに蠢いているのがひしひし感じ取れた。
すっかり作者の豊田徹也さんのファンになったので、別の単行本『珈琲時間』も読んでみるつもり。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
珈琲時間の作者つながりで読んだ。
まぁ、期待してたほどでは無い。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
ただ優しいだけの物語ではなく、その人のささやかな優しさを表現するためにコマ割りや演出にかなり気を使っていて作り手の作品に対する本気度が伝わってきます。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
心の中の中は誰にもわからんよね。
相手のことを”知ってる”のと“わかる”っていうのは、必ずしもイコールではないな、と。
心臓ぎゅうぅってなりました。
映画みたいなマンガ。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
賑やかなシーンの間に挟まる、とても静かで独特の間が心地良いです。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
前回読んだ『珈琲時間』より
分かりやすい。
ストーリーが時系列に
流れてる、という意味で。
『人をわかるって
どういうことですか』
びぃぃぃんとくるヒトコト。
ややもすると この底知れない
哀しいような 不安な空気に
もってかれそうになるところを
サブじい、と 探偵山崎氏が
うまいこと 地面につなぎ止めてくれている。
ブレない傍観者ってんですかね。
ラストは『あぁ やっぱりこうなりますか・・・』
でも、なんか納得。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
人間ドラマ。
本当にそのまま人間ドラマ。
自分と他者を理解することとは?常にその問題を投げかけてくる。
淡々と進むしキャラクターの感情も希薄だけど、繊細な描写や構図でぐいぐい引きこまれて、些細な描写の中からも色んな意味を汲み取ろうと自然に見入ってしまう魅力があった。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
言葉が深く、眩しそうな表情がいい。
男女キャラクターとも。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
Yに借りた。
銭湯を営む主人公の女性と、その周りの人々の物語。
ときどきはさまれる怖い記憶も、最後には明かされる。
バッドエンドでなくてよかった。
さらっと読めてじんわり良い作品だった。
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
アンダーカレント アフタヌーンKCDX
絵が上手い。
一つ一つのカットが冴えている。
よしながふみの切り替え方に似ているかも。
他人の心は絶対に踏み込めない領域で
それでも知りたくて
でも自分を知ってほしいわけではなくて…
映画を見ているような感覚に陥った。
切ない読後感もよい。