手塚治虫文化賞受賞作『パノラマ島綺譚』で、世界を震撼させた漫画界の魔神が、再び、巨星・乱歩の原作に挑む。
今度は、乱歩全作中…いや、日本文学史上、最高に危険な問題作。
グロテスクでエロティックな漫画表現の極限に向けて、世界的アーティスト・丸尾末広が今、恐るべきその本領を全面開放する。
芋虫

手塚治虫文化賞受賞作『パノラマ島綺譚』で、世界を震撼させた漫画界の魔神が、再び、巨星・乱歩の原作に挑む。
今度は、乱歩全作中…いや、日本文学史上、最高に危険な問題作。
グロテスクでエロティックな漫画表現の極限に向けて、世界的アーティスト・丸尾末広が今、恐るべきその本領を全面開放する。
コメント
突然のグロテスクなシーンには驚いたが、虚しさ、切なさが独特のタッチで助長されていて非常によい。
原作は過激な描写は発表された時代柄か伏字で伏せられて、ヒドイところだと何が何やら全く分からないシーンなどもあったが本作はマンガ。
そんな手ヌルいマネはせずガッツリ過激な描写を丸尾末広流のリアルなタッチで描ききっている。
エログロ耐性の無い方以外なら是非手に取って読んで頂きたい作品。
今までに無いマンガ体験を味わえます。
江戸川乱歩と丸尾末広の異色のコラボ作品。
醜く美しく儚い。
エログロな作風が強いので、苦手な方注意ですが、是非ラストまで読んでください。
人間の醜さの終極が美にあるように、これはすごいとおもいました。
乱歩と丸尾さんの組み合わせは怖いです。
いろいろな意味で。
活字を読まれた方、あらすじを知っている方はわかると思いますがストーリーの決め手となる三文字の言葉、またその光景が冒頭に描かれています。
これは活字でなく、絵で魅せる漫画ならではの表現で個人的にとてもよかったです(活字はさらっとした印象でしたが、漫画は冒頭からそれを持ってくることによってより印象深くなりました)
登場人物の表情が痛いほど美しく、切ないです。
(特に其ノ参からラストにかけて、夫である須永中尉の表情。
活字と同様、ストーリーは妻である時子がメインで描かれていますがこちらも絵で表現されているぶん活字ではわからなかった須永中尉の心情、表情がわかりやすく描かれています)
漫画という性質上、活字よりわかりやすいのはもちろんですが活字の世界観を壊さず、丁寧に美しく描かれている作品だと思います
グロイ。
丸尾末広、という名前は
某女装ロリィタさんのトコロでしばしば聞いていたのだけど
こういう絵柄の人なのね、
昭和を想起させるような。
アレだね、
メリーのインディーズ時代のジャケイラスト描いてたんじゃないかな。
知らないけどそんな感じ。
話は元々乱歩原作のもので読んでいたので
話自体は知ってた。
それが絵になるとこんな感じですよーっていう。
最近の萌え絵なんかじゃ表わせないと言って良いのか
……嗚呼、芋虫は描けないだろうな。
絵に表すのはこれだけなんだろうか、
他の作品にも手を伸ばしてみて欲しい。
映像化が出来たんだから絵化も出来るだろう、ということで
暗黒星を期待しています。
若しくは
映像化された芋虫を
誰か、
あのストーリーで描くことって無理だろうか。
映像だからのあの綺麗さなのか。
エグいんだけど、
凄く綺麗で、
演技者がヤバイんだとは思うけど
あっちへの欲求のが強くなってしまうなぁ。
全体の構成からコマの一つひとつまで丸尾先生の感性が活きています。
どのコマを切り取っても画になります。
書き込みも半端じゃないです。
そんな狂気的なところも「芋虫」という題材にピッタリで、もう・・・最高です。
芋虫を完全再現してます!
すごいとしか言いようがないです…
彼程に乱歩を表現できるものがいるのか
いや、いない。
あからさまな描写が逆に真実を忠実に再現出来るのではないかと。
ともかく詰まる所、愛でした。
原作よりもエロ要素がドギツい印象。
緻密な絵柄でグロテスクなモノを克明に描写する丸尾の作風は、確かに江戸川乱歩と表現のベクトルが似てるかもしれない。
乱歩の世界を表現できるのはこの人だけだと
思わせることのできる仕上がりです。
さすが丸尾末広。
原作よりもエロ描写がきつかったなあ・・・。
原作にないバナナのシーンは思わずこみ上げてしまいました。
それ以外はどこまでも原作に忠実な描写でした。
忠実だからこそ、ラストにはまた泣かされてしまいました。
乱歩も丸尾もどっちもすごい。
エログロ苦手な方にはお勧めしません。
大乱歩の残した精髄を吸い上げ描き出す筆力。
何カットも何カットも素晴らしい構図がある。
江戸川乱歩「芋虫」漫画版。
短いのでパッと一気に読んで、軽い吐き気に襲われた(笑)
ストーリーは、ほぼそのまま原作どおり。
もちろん――というかなんというか、
小説のイメージよりも妻・時子が美しく描かれているけれど、
それは丸尾作品だから当然と言えば当然で。
時子の外見があくまで美しいことが「事件」の醜悪さを引き立てるわけですね。
セリフもモノローグも控えめで、グロテスクだけど幻想的。
一幕のグラン=ギニョル劇のような。
乱歩の「芋虫」が漫画化されてる!
しかも作画は丸尾末広。
これは買うしかないでしょう……!
原作のどろっとした雰囲気がそのまま再現されてるのが凄いです。
グロテスクで、気持ちが悪いんだけど、何故だか目が離せない。
まぁ一読した感想は「エロい」。
これに尽きるんですけどね……。
一人きりでひっそり読むことをお勧めいたします。
エログロではあるが、切ない。
乱歩のエロさとグロさと不気味さがここまであっているのは丸尾さんだけ。
読むのに覚悟がいる。
カネコアツシさんの、乱歩地獄くらいのグロテスクさの方が、後々残らなくて、今の心理状態には心地よい。
後に残らないのが、必ずしもいいってわけじゃなくて、
それほどまでに強烈に印象付けて作品を魅せられるものに仕上げてる力量に脱帽。
素敵。
小説のあとがきで、著者いわく「反戦をテーマにしてない」的なことが書いてあった記憶がありまして、つまり退廃的なエログロを混じりけなく描いたものであれば、その意思を反映したのがこの漫画なんじゃないかと思います。
前作よりも、エロ・グロ・ナンセンスが強くなっています。
時代はロシア戦争を経てのシベリア出兵の後、
戦傷で両手両足と、声を失った兵士とその妻が主人公。
貞淑な妻の中に潜む嗜虐的な性癖、、
不具となった夫のやるせなさと、抑えきれない欲望、
それぞれが徐々に“壊れながら”つまびらかにしていく、
そんな人の“欲望”の描きようが、なんとも衝撃的です。
原作自体が、いろいろと衝撃的な内容ですが、
なんとも上手く表現されているなぁ、、と。
原作を初めて読んだ時にゾッと感じたその世界観、
それがそのまま伝わってきたと感じています。
冒頭の「許す」との言葉、哀しいほどに痛く伝わってきました。
かなりエログロだった。
乱歩はこの作品を通じて、夫婦の間の愛の形(最後は衝撃的)や戦争批判をしていたのか?
たぶん今年「芋虫」がいろいろ映画になったり取りざたされる予定みたいだから、それに先駆けての宣伝的なものがあるんだろうけどさ・・・。
乱歩の「芋虫」は、内容がセンセーショナルすぎるということで、私が中学生の頃全集に入ってなかった。
古本屋で、短編集を見つけてその目次に「芋虫」を見つけたときの衝撃、高揚感は忘れていない。
何度も読み返し、その淫靡感、切なさ、時代に酔った。
何度も見直してやっと判読できた「ユルス」。
私の大東亜戦争好き、奇形好き、打ち捨てられた廃屋じみた木造家屋好きが、すべて詰まっていて、セックス描写などなくても、読み返すたびに性欲の高まる短編。
おそらく、丸尾のことだから、パノラマは知らんが「芋虫を描け」と依頼があったときは、戸惑って悩んだことだろう。
少なくとも喜びはしなかったはずだ。
だって丸尾、たぶん芋虫好きすぎたはずだもん。
もし今私が芋虫を描けといわれても、描けるはずがない。
自分と同じほどの暗い情熱をもって何度も読み返していたかつての少年少女たちの「芋虫」を、自分が崩し去るわけにはいかないのだ。
その点では、丸尾は充分苦しみながら頑張ったと思う。
あの世界観は出せないから、「丸尾らしさ」を前面に出し、エロで話をそらそうともした。
まっこう勝負はしなかった印象。
苦しさが伝わる。
絵も、デビュー当時の鮮烈な線、またあぶらの乗り切った頃の、マンガではなくもはや一枚絵のようなねばねば感のある線からは、ちょっと遠くにきてしまった印象。
「乱歩」と「丸尾」は、似ているものではなく、かけあわせるものでもなく、作家とファンという関係にさせていてほしかった。
須永中尉の表情の微妙な変化が見事。
あの3文字が迫ってきて目にはりつく。
小説のあとがきで、著者いわく「反戦をテーマにしてない」的なことが書いてあった記憶がありまして、つまり退廃的なエログロを混じりけなく描いたものであれば、その意思を反映したのがこの漫画なんじゃないかと思います。
原作は過激な描写は発表された時代柄か伏字で伏せられて、ヒドイところだと何が何やら全く分からないシーンなどもあったが本作はマンガ。
そんな手ヌルいマネはせずガッツリ過激な描写を丸尾末広流のリアルなタッチで描ききっている。
エログロ耐性の無い方以外なら是非手に取って読んで頂きたい作品。
今までに無いマンガ体験を味わえます。
須永中尉の表情の微妙な変化が見事。
あの3文字が迫ってきて目にはりつく。
あからさまな描写が逆に真実を忠実に再現出来るのではないかと。
ともかく詰まる所、愛でした。
素敵。
読むのに覚悟がいる。
カネコアツシさんの、乱歩地獄くらいのグロテスクさの方が、後々残らなくて、今の心理状態には心地よい。
後に残らないのが、必ずしもいいってわけじゃなくて、
それほどまでに強烈に印象付けて作品を魅せられるものに仕上げてる力量に脱帽。
乱歩の「芋虫」が漫画化されてる!
しかも作画は丸尾末広。
これは買うしかないでしょう……!
原作のどろっとした雰囲気がそのまま再現されてるのが凄いです。
グロテスクで、気持ちが悪いんだけど、何故だか目が離せない。
まぁ一読した感想は「エロい」。
これに尽きるんですけどね……。
一人きりでひっそり読むことをお勧めいたします。
人間の醜さの終極が美にあるように、これはすごいとおもいました。
乱歩と丸尾さんの組み合わせは怖いです。
いろいろな意味で。
エログロではあるが、切ない。
たぶん今年「芋虫」がいろいろ映画になったり取りざたされる予定みたいだから、それに先駆けての宣伝的なものがあるんだろうけどさ・・・。
乱歩の「芋虫」は、内容がセンセーショナルすぎるということで、私が中学生の頃全集に入ってなかった。
古本屋で、短編集を見つけてその目次に「芋虫」を見つけたときの衝撃、高揚感は忘れていない。
何度も読み返し、その淫靡感、切なさ、時代に酔った。
何度も見直してやっと判読できた「ユルス」。
私の大東亜戦争好き、奇形好き、打ち捨てられた廃屋じみた木造家屋好きが、すべて詰まっていて、セックス描写などなくても、読み返すたびに性欲の高まる短編。
おそらく、丸尾のことだから、パノラマは知らんが「芋虫を描け」と依頼があったときは、戸惑って悩んだことだろう。
少なくとも喜びはしなかったはずだ。
だって丸尾、たぶん芋虫好きすぎたはずだもん。
もし今私が芋虫を描けといわれても、描けるはずがない。
自分と同じほどの暗い情熱をもって何度も読み返していたかつての少年少女たちの「芋虫」を、自分が崩し去るわけにはいかないのだ。
その点では、丸尾は充分苦しみながら頑張ったと思う。
あの世界観は出せないから、「丸尾らしさ」を前面に出し、エロで話をそらそうともした。
まっこう勝負はしなかった印象。
苦しさが伝わる。
絵も、デビュー当時の鮮烈な線、またあぶらの乗り切った頃の、マンガではなくもはや一枚絵のようなねばねば感のある線からは、ちょっと遠くにきてしまった印象。
「乱歩」と「丸尾」は、似ているものではなく、かけあわせるものでもなく、作家とファンという関係にさせていてほしかった。
大乱歩の残した精髄を吸い上げ描き出す筆力。
何カットも何カットも素晴らしい構図がある。
前作よりも、エロ・グロ・ナンセンスが強くなっています。
時代はロシア戦争を経てのシベリア出兵の後、
戦傷で両手両足と、声を失った兵士とその妻が主人公。
貞淑な妻の中に潜む嗜虐的な性癖、、
不具となった夫のやるせなさと、抑えきれない欲望、
それぞれが徐々に“壊れながら”つまびらかにしていく、
そんな人の“欲望”の描きようが、なんとも衝撃的です。
原作自体が、いろいろと衝撃的な内容ですが、
なんとも上手く表現されているなぁ、、と。
原作を初めて読んだ時にゾッと感じたその世界観、
それがそのまま伝わってきたと感じています。
冒頭の「許す」との言葉、哀しいほどに痛く伝わってきました。
活字を読まれた方、あらすじを知っている方はわかると思いますがストーリーの決め手となる三文字の言葉、またその光景が冒頭に描かれています。
これは活字でなく、絵で魅せる漫画ならではの表現で個人的にとてもよかったです(活字はさらっとした印象でしたが、漫画は冒頭からそれを持ってくることによってより印象深くなりました)
登場人物の表情が痛いほど美しく、切ないです。
(特に其ノ参からラストにかけて、夫である須永中尉の表情。
活字と同様、ストーリーは妻である時子がメインで描かれていますがこちらも絵で表現されているぶん活字ではわからなかった須永中尉の心情、表情がわかりやすく描かれています)
漫画という性質上、活字よりわかりやすいのはもちろんですが活字の世界観を壊さず、丁寧に美しく描かれている作品だと思います
原作よりもエロ要素がドギツい印象。
緻密な絵柄でグロテスクなモノを克明に描写する丸尾の作風は、確かに江戸川乱歩と表現のベクトルが似てるかもしれない。
江戸川乱歩「芋虫」漫画版。
短いのでパッと一気に読んで、軽い吐き気に襲われた(笑)
ストーリーは、ほぼそのまま原作どおり。
もちろん――というかなんというか、
小説のイメージよりも妻・時子が美しく描かれているけれど、
それは丸尾作品だから当然と言えば当然で。
時子の外見があくまで美しいことが「事件」の醜悪さを引き立てるわけですね。
セリフもモノローグも控えめで、グロテスクだけど幻想的。
一幕のグラン=ギニョル劇のような。
かなりエログロだった。
乱歩はこの作品を通じて、夫婦の間の愛の形(最後は衝撃的)や戦争批判をしていたのか?
全体の構成からコマの一つひとつまで丸尾先生の感性が活きています。
どのコマを切り取っても画になります。
書き込みも半端じゃないです。
そんな狂気的なところも「芋虫」という題材にピッタリで、もう・・・最高です。
乱歩のエロさとグロさと不気味さがここまであっているのは丸尾さんだけ。
グロイ。
丸尾末広、という名前は
某女装ロリィタさんのトコロでしばしば聞いていたのだけど
こういう絵柄の人なのね、
昭和を想起させるような。
アレだね、
メリーのインディーズ時代のジャケイラスト描いてたんじゃないかな。
知らないけどそんな感じ。
話は元々乱歩原作のもので読んでいたので
話自体は知ってた。
それが絵になるとこんな感じですよーっていう。
最近の萌え絵なんかじゃ表わせないと言って良いのか
……嗚呼、芋虫は描けないだろうな。
絵に表すのはこれだけなんだろうか、
他の作品にも手を伸ばしてみて欲しい。
映像化が出来たんだから絵化も出来るだろう、ということで
暗黒星を期待しています。
若しくは
映像化された芋虫を
誰か、
あのストーリーで描くことって無理だろうか。
映像だからのあの綺麗さなのか。
エグいんだけど、
凄く綺麗で、
演技者がヤバイんだとは思うけど
あっちへの欲求のが強くなってしまうなぁ。
突然のグロテスクなシーンには驚いたが、虚しさ、切なさが独特のタッチで助長されていて非常によい。
乱歩の世界を表現できるのはこの人だけだと
思わせることのできる仕上がりです。
さすが丸尾末広。
原作よりもエロ描写がきつかったなあ・・・。
原作にないバナナのシーンは思わずこみ上げてしまいました。
それ以外はどこまでも原作に忠実な描写でした。
忠実だからこそ、ラストにはまた泣かされてしまいました。
乱歩も丸尾もどっちもすごい。
エログロ苦手な方にはお勧めしません。
芋虫を完全再現してます!
すごいとしか言いようがないです…
彼程に乱歩を表現できるものがいるのか
いや、いない。
江戸川乱歩と丸尾末広の異色のコラボ作品。
醜く美しく儚い。
エログロな作風が強いので、苦手な方注意ですが、是非ラストまで読んでください。
全体の構成からコマの一つひとつまで丸尾先生の感性が活きています。
どのコマを切り取っても画になります。
書き込みも半端じゃないです。
そんな狂気的なところも「芋虫」という題材にピッタリで、もう・・・最高です。
エログロではあるが、切ない。
グロイ。
丸尾末広、という名前は
某女装ロリィタさんのトコロでしばしば聞いていたのだけど
こういう絵柄の人なのね、
昭和を想起させるような。
アレだね、
メリーのインディーズ時代のジャケイラスト描いてたんじゃないかな。
知らないけどそんな感じ。
話は元々乱歩原作のもので読んでいたので
話自体は知ってた。
それが絵になるとこんな感じですよーっていう。
最近の萌え絵なんかじゃ表わせないと言って良いのか
……嗚呼、芋虫は描けないだろうな。
絵に表すのはこれだけなんだろうか、
他の作品にも手を伸ばしてみて欲しい。
映像化が出来たんだから絵化も出来るだろう、ということで
暗黒星を期待しています。
若しくは
映像化された芋虫を
誰か、
あのストーリーで描くことって無理だろうか。
映像だからのあの綺麗さなのか。
エグいんだけど、
凄く綺麗で、
演技者がヤバイんだとは思うけど
あっちへの欲求のが強くなってしまうなぁ。
たぶん今年「芋虫」がいろいろ映画になったり取りざたされる予定みたいだから、それに先駆けての宣伝的なものがあるんだろうけどさ・・・。
乱歩の「芋虫」は、内容がセンセーショナルすぎるということで、私が中学生の頃全集に入ってなかった。
古本屋で、短編集を見つけてその目次に「芋虫」を見つけたときの衝撃、高揚感は忘れていない。
何度も読み返し、その淫靡感、切なさ、時代に酔った。
何度も見直してやっと判読できた「ユルス」。
私の大東亜戦争好き、奇形好き、打ち捨てられた廃屋じみた木造家屋好きが、すべて詰まっていて、セックス描写などなくても、読み返すたびに性欲の高まる短編。
おそらく、丸尾のことだから、パノラマは知らんが「芋虫を描け」と依頼があったときは、戸惑って悩んだことだろう。
少なくとも喜びはしなかったはずだ。
だって丸尾、たぶん芋虫好きすぎたはずだもん。
もし今私が芋虫を描けといわれても、描けるはずがない。
自分と同じほどの暗い情熱をもって何度も読み返していたかつての少年少女たちの「芋虫」を、自分が崩し去るわけにはいかないのだ。
その点では、丸尾は充分苦しみながら頑張ったと思う。
あの世界観は出せないから、「丸尾らしさ」を前面に出し、エロで話をそらそうともした。
まっこう勝負はしなかった印象。
苦しさが伝わる。
絵も、デビュー当時の鮮烈な線、またあぶらの乗り切った頃の、マンガではなくもはや一枚絵のようなねばねば感のある線からは、ちょっと遠くにきてしまった印象。
「乱歩」と「丸尾」は、似ているものではなく、かけあわせるものでもなく、作家とファンという関係にさせていてほしかった。
読むのに覚悟がいる。
カネコアツシさんの、乱歩地獄くらいのグロテスクさの方が、後々残らなくて、今の心理状態には心地よい。
後に残らないのが、必ずしもいいってわけじゃなくて、
それほどまでに強烈に印象付けて作品を魅せられるものに仕上げてる力量に脱帽。
小説のあとがきで、著者いわく「反戦をテーマにしてない」的なことが書いてあった記憶がありまして、つまり退廃的なエログロを混じりけなく描いたものであれば、その意思を反映したのがこの漫画なんじゃないかと思います。
あからさまな描写が逆に真実を忠実に再現出来るのではないかと。
ともかく詰まる所、愛でした。
須永中尉の表情の微妙な変化が見事。
あの3文字が迫ってきて目にはりつく。
乱歩のエロさとグロさと不気味さがここまであっているのは丸尾さんだけ。
かなりエログロだった。
乱歩はこの作品を通じて、夫婦の間の愛の形(最後は衝撃的)や戦争批判をしていたのか?
素敵。
江戸川乱歩と丸尾末広の異色のコラボ作品。
醜く美しく儚い。
エログロな作風が強いので、苦手な方注意ですが、是非ラストまで読んでください。
活字を読まれた方、あらすじを知っている方はわかると思いますがストーリーの決め手となる三文字の言葉、またその光景が冒頭に描かれています。
これは活字でなく、絵で魅せる漫画ならではの表現で個人的にとてもよかったです(活字はさらっとした印象でしたが、漫画は冒頭からそれを持ってくることによってより印象深くなりました)
登場人物の表情が痛いほど美しく、切ないです。
(特に其ノ参からラストにかけて、夫である須永中尉の表情。
活字と同様、ストーリーは妻である時子がメインで描かれていますがこちらも絵で表現されているぶん活字ではわからなかった須永中尉の心情、表情がわかりやすく描かれています)
漫画という性質上、活字よりわかりやすいのはもちろんですが活字の世界観を壊さず、丁寧に美しく描かれている作品だと思います
突然のグロテスクなシーンには驚いたが、虚しさ、切なさが独特のタッチで助長されていて非常によい。