七○年に発表された衝撃の問題作『銭ゲバ』上下巻が電子版限定で、合本になって登場!
※本書は、『銭ゲバ(上)』『銭ゲバ(下)』を1冊にまとめた電子書籍限定の合本版です。
■『銭ゲバ(上)』貧乏だった蒲郡風太郎はいつも馬鹿にされ、病弱だった母親は医者に見捨てられ死んでしまう。
少年時代に金の絶対的な力を見せつけられた風太郎は、金のためなら手段を選ばない大人になっていく。
そんな彼を人々は「銭ゲバ」と呼んで軽蔑したが、風太郎の金儲け道は止まることを知らなかった……。
七○年に発表された衝撃の問題作、ついに復刊!
■『銭ゲバ(下)』一流企業の大昭物産の社長の座まで上りつめた風太郎だが、貧しかった頃の恨みはいつまでも消えることがなく、金への執着は益々強まった。
この世に金で買えないものはない。
そう信じて疑わない風太郎は、金の力を使って政界に進出する。
だが欲しいものをすべて手にいれた彼を待っていたのは……。
長年入手困難だった不朽の名作、ついに電子化!
銭ゲバ 完結上下巻セット【電子版限定】

コメント
人間の暗部を描いた名作にして怪作
暴力描写・差別描写のオンパレードであり70年代だからこそ連載できたと言える。
今なら間違いなく発禁ものだろう。
ただ、そのようなえげつない描写は蒲郡風太郎という男の性質及び人間というものが多かれ少なかれ持ち合わせているはずの暗部を表現するためのものであり、作品にとって無意味なグロテスクさというのは一切存在しない。
また、風太郎が他者を見る時の侮蔑的な態度はそのまま自身への侮蔑にも繋がっていることも注意すべき点だと思う。
作中においては後の伏線となっている描写も多い。
風太郎が病院の委員長に金を握らせ最大限のサービスを提供するよう求めた際にうっすら滲む自らへの嫌悪感・風太郎と対になるようなキャラクターである大学伸一郎の存在など、衝撃的なクライマックスに至るまでのヒントがあちらこちらに示されている。
並々ならぬ筆力で描かれた漫画であり間違いなく名作と断言できる作品だが、描写のえげつなさや画風の癖から人を選ぶ作品でもあり、評価は「名作にして怪作」とするのが適当なのではないだろうか。
人間の暗部を描いた名作にして怪作
暴力描写・差別描写のオンパレードであり70年代だからこそ連載できたと言える。
今なら間違いなく発禁ものだろう。
ただ、そのようなえげつない描写は蒲郡風太郎という男の性質及び人間というものが多かれ少なかれ持ち合わせているはずの暗部を表現するためのものであり、作品にとって無意味なグロテスクさというのは一切存在しない。
また、風太郎が他者を見る時の侮蔑的な態度はそのまま自身への侮蔑にも繋がっていることも注意すべき点だと思う。
作中においては後の伏線となっている描写も多い。
風太郎が病院の委員長に金を握らせ最大限のサービスを提供するよう求めた際にうっすら滲む自らへの嫌悪感・風太郎と対になるようなキャラクターである大学伸一郎の存在など、衝撃的なクライマックスに至るまでのヒントがあちらこちらに示されている。
並々ならぬ筆力で描かれた漫画であり間違いなく名作と断言できる作品だが、描写のえげつなさや画風の癖から人を選ぶ作品でもあり、評価は「名作にして怪作」とするのが適当なのではないだろうか。